GeoGebra は,Markus Hohenwarter が開発の創始者であり,数学を初等教育から高等教育水準まで学習指導するための代数・幾何・解析・統計を結びつけた動的数学ソフトウェアである.非商用利用であれば無料で使うことができる.学校教育の場での使用を考えると,この点は大きな魅力である.使いこなすにはそれなりの学習は必要であるが,直感的な扱いができるインターフェイスを持っている.そのため,高校生や大学生であれば使いながら操作方法を習得していけるだろう.学習指導をするために開発されただけのことはある.
タブレットやスマートフォン用に「GeoGebra 関数グラフ」,「GeoGebra 幾何」,「GeoGebra 空間図形」,「GeoGebra 科学計算用電卓」,「GeoGebra 数式処理」,「GeoGebra AR」というように機能を特化したアプリも用意されている.これらの中でも「GeoGebra 空間図形」にはおもしろい機能がある.カメラを通し画面上の机やノートなどの上に立体図形を表示することができるのだ.さらに,タブレットやスマートフォンを動かすことで自分の見たい視点で,その立体図形を眺めたり,自分の指で立体図形を指し示したりできるのである.生徒のスマートフォンにインストールさせて「空間ベクトル」の授業で使ってみたが,生徒たちはいろいろな視点から座標空間を眺めて楽しんでいた.「空間図形は苦手だったけど,自分が眺めたいように眺められてイメージが持てるようになった」という声も聞かれた.他のアプリもインストールして学習に使ってみることを勧めた.このようなことができるのも無料ならではであろう.ちなみに,関数のグラフを描かせて交点などを調べ,生徒同士で問題の解法を議論する姿を放課後に見ることができた.ここにも,ICT の効果的な活用の持つ力を感じた.
ぜひ使ってもらいたいと,願いつつ,おしまい.