Mathematica はアメリカの Wolfram Research が開発した数式処理システム (CAS) である.グラフ関数電卓のような使い方からプログラミングまで数学に関する幅広い処理をすることができる.学校教育の場に関して言うと大学での使用が圧倒的に多いが,高等学校での使用も少なくはない.ただ,最近は同社が開発した Wolfram|Alpha の使用の方が増えているようである.
Mathematica を知ったのは,学部の 3 年生のときであったが,本格的に使い始めたのは大学院に入ってからである.研究内容が数式処理システムを活用した教材開発であり,当時の日本で一番多く使われていた Mathematica を使用することにしたからだ.研究をすすめていく中で,生徒がこのソフトウェアを自由に使える環境にあれば,探究的な学習が行えるだろうな,と感じた.ただ,ソフトウェア 1 本当たりの価格が高いので,高等学校の PC 教室のすべての PC にインストールするのは難しい現実があった.そのような中,幸いにも大学院修了後に,PC 教室の PC 全台に Mathematica がインストールされている学校に着任することになった.そのため,生徒に数学 C の「いろいろな曲線」の単元を探究的に学習させる機会が得られ,研究授業も行うことができた.生徒たちの反応も良好で,主体的かつ活動的に学習に取り組む姿が見られて,とても嬉しかった.数学の授業に ICT を効果的に活用できれば学びのスタイルを変えていくことができると確信した瞬間である.
大学(学部)で Mathematica を使った授業を行ったり,学校の先生向けの公開講座も行ったりしたが,その場でも上記の生徒たちのように主体的かつ活動的な学習の姿を見ることができた.世代を超えて同様の姿が見られたことは,ICT の効果的な活用に大きな力があることを示しているのではないだろうか.
ぜひ使ってもらいたいと,願いつつ,おしまい.