教師大全

週刊ダイヤモンドの第 109 巻 23 号(2021 年 6 月 12 日)の特集が「教師大全」であった.ビジネス誌ならではの視点で,教師を取り巻く環境が述べられていた.

その中に,教師の職場がブラック職場であるという記事があった.「教師はブラックだ」というのは,様々なところでずっと言われている.その記事も世間でよく言われていることが述べられていた.ただ,「ブラック」ということばを聞いて,思い浮かべたことがある.知人のイオタ (ι) 先生のことだ.

イオタ (ι) 先生は,某県立のアルファ (α) 高等学校の先生であった(現在は在籍上は他校).その高等学校をご子息が受験し,入学してきた.入学して 3 年が過ぎ,ご子息が卒業というときに事件が起こった.あとわずかで卒業式というときに,突然,他校への異動を申し渡されたのだ.新 1 年生の担任になっていたのにも関わらず・・・.教育委員会の異動理由は,親子の同一校での在籍ということであった.次年度は,ご子息は卒業して在籍していないのにも関わらずである.

校長のオミクロン (ο) 氏は,教育委員会が言っているからと,異動をするように迫ってきたそうだ.その執拗な迫り方に,イオタ (ι) 先生は訳が分からなくなり,体調を崩されてしまった.

納得のいかないイオタ (ι) 先生は,弁護士や県議会議員の協力を得て真相の究明に乗り出した.その結果,なんと,イオタ (ι) 先生のご子息が,アルファ (α) 高等学校を受験をしたり,在籍していることを,オミクロン (ο) 校長が教育委員会へ報告をしていなかったことが原因であり,イオタ (ι) 先生には非はない,ということだったのである.どうも,オミクロン (ο) 校長が「この時点でイオタ (ι) 先生を異動させるつもりだったので,報告をしていなかった」ということにして,自分のミスをなかったことにしたようである.

これを聞いたとき,呆れ果ててしまい,開いた口がふさがらなかった.ブラック,ここに極まれり,という感じである.

このオミクロン (ο) 校長,教師であった期間が短かったようである.なので,感覚が教育者ではなく,行政者なのだろう.このように,学校のトップにいる人間に教育者としての感覚がなければ,「ブラック職場」と言われる現場が変わることはないのではないだろうか.イオタ (ι) 先生の話を聞いて,そんなことを感じた.

なお,イオタ (ι) 先生は,現在もアルファ (α) 高等学校に戻れるように活動されている.保護者も教育委員会へ働きかけをするなど,周囲の理解やサポートも得られ,活動を続けられているそうである.

イオタ (ι) 先生がアルファ (α) 高等学校に戻れるよう応援しつつ,おしまい.