僕が中学生だった頃,『オネアミスの翼』という映画が公開された.物語の中で,主人公の問いかけに対し,彼の友人が答えたセリフに次のようなことばがある.
(略)・・・ただ周りの奴ら,親とかみんな含めて,そいつらが俺をほんのちょっとでも必要としてくれるからこそ俺はいられるんじゃないかと思ってる.
金物屋だってそうだ.誰かが必要としてるからこそ金物屋でいられるんだ.
この世に全く不必要なものなんてないと思ってる.そんなものはいられるはずがないんだ.そこにいる事自体,誰かが必要と認めてる.必要でなくなった途端消されちまうんだ.こう思う・・・(略)
このことばを聞いたとき,衝撃が走った.
自分はここにいる・・・
誰かに必要とされているからだ.
誰なのかは分からない.でも,誰かがいる・・・
その誰かのためにも,自分は逃げずに前に向かって進んでいかなくちゃいけないんだ.
そう思ったのを,今でも覚えている.受験生になる時期だったので,その影響もあったのかもしれない.
でも,それ以来,このことばは僕の中で大切なことばとなった.何かにへこんだり,不安を感じたりしたときは,このことばを頭に浮かべるようにしている.わずかであっても,前向きになり,一歩足を進めてみようという気持ちになれるからだ.
生徒が卒業するとき,文集や色紙にこのことばを書くようにしている.卒業後の新しい世界で大きな不安を抱いたり,失敗したりしたときに,何かの力になってくれればと考えているからだ.
あと,「君たちが僕を必要としてくれたように,僕にとっても君たちは必要な存在なんだよ」ってことまで伝われば嬉しいんだけど・・・ね(笑)
自分にとって一生涯にわたる大切なことば・・・.これからも,そんなことばに出会えることを願いつつ,おしまい.