- 著 者:Thodoris Andriopoulos, Thanasis Gkiokas
- 訳 者:竹内 薫,竹内 さなみ
- 出版社:講談社ブルーバックス
- 出版年:2015 年.
完全犯罪は実行できるのか? 舞台は 1900 年のパリである.史上最も重要と目された数学会議の最中に,世界的に有名な天才数学者 X 教授が何者かによって殺された.容疑者は会議に出席していた天才数学者ばかりであった.アリバイがあるのだが,それはすべて数学で供述されている.しかも容疑者全員に殺人の動機が・・・.ヨーロッパで絶賛の数学ミステリーの漫画である.
数学の内容をミステリー仕立てにしている漫画である.実在した数学者たちが容疑者として登場している.学習漫画のように,ただ内容を解説していくというものではない.それぞれの内容が,それに合うようにミステリーに加工してある.訳者の 竹内 薫 氏が「自分が生徒だった頃,こんなに楽しい副教材があったらよかったのに! 推理を進めながら,実際に鉛筆で計算をして楽しむ.いやあ,これぞ,数学の醍醐味ですね」とあとがきで述べているように,数学をミステリーとして実体験できる.また,「本書は,是非,学校の数学の先生に読んでもらい,授業で役立ててほしい」とも述べている.なるほど,こんな風にミステリー仕立てで数学を学ぶことができたら,生徒も楽しめることだろう.そのように授業をつくってみたいものである.最後に個人的な感覚であるが,欧米の漫画の画風にはなじめないものが多い中で,本作品の画風はそのようなことがなかった.
ぜひ読んでみてもらいたいと,願いつつ,おしまい.