コサインなんて人生に関係ないと思った人のための数学のはなし

  • 著 者:タテノ カズヒロ
  • 出版社:中公新書ラクレ
  • 出版年:2014 年.

「素数ゼミ」,「黄金比」,「フィボナッチ数列」,「オイラー数」,「ゲーデルの不完全性定理」などをテーマにして,職場や恋愛など日常シーンを舞台にした漫画で数学の美しさ,魅力を体感できるようにしてある作品である.1 話 1 テーマで完結しており,漫画の後には,そのテーマに関するやさしい解説文が用意されており,数学に対する理解もすることができるように工夫がなされている.全 30 話からなっており,多岐に渡って数学のテーマに触れることができる.

数学の各テーマの内容をメインに扱っている漫画である.ただ,学習漫画のように,そのテーマを解説していくというものではない.それぞれのテーマに合った実生活上の場面に置き換えて,読者がそのテーマを体感することができるように工夫されている.その加工の仕方はよく練られていると思う.また,1 話 1 テーマであり,それぞれの話は 1 話完結となっている.だが,最後のエピローグでそれまでの話が,いろいろな形で繋がっていることが描かれる.その様は,各テーマは代数,幾何,解析と散らばっていたが,それらは実は「数学」という 1 つのものなんだということを伝えているかのようようだ.また,漫画の後の解説文も平易に書かれており,各テーマの解説書としても十分に通用する.

ぜひ読んでみてもらいたいと,願いつつ,おしまい.