数学ガール

  • 著 者:結城 浩
  • 出版社:ソフトバンククリエイディブ
  • 出版年:
    『数学ガール』,2007 年
    『数学ガール フェルマーの最終定理』,2008 年.
    『数学ガール ゲーデルの不完全生定理』,2009 年.
    『数学ガール 乱択アルゴリズム』,2011 年.
    『数学ガール ガロア理論』,2012 年.
    『数学ガール ポアンカレ予想』,2018 年.

主人公の僕,数学才媛のミルカさん(僕の友人),元気少女のテトラちゃん(僕の後輩),中学生のユーリ(僕の従姉妹),コンピュータが得意なリサ(ミルカさんの後輩)が織りなす数学対話で物語が進んでいく数学書(小説?)である.

1 巻は複数の数学の話題で物語が進んでいくが,2 巻以降は副題となっている数学のテーマでの物語だ.「僕」たちは,放課後の図書室などで,数学の問題に取り組む対話を読みながら,読者も次第にテーマとなっている数学を理解していけるようになっている.

とは言え,2 巻からは数学の話題としては大きな話題ではあるので,後半に行くにしたがって読み込んでいくのが重くはなる.だが,「僕」たちと一緒に対話に参加している気分になれれば,苦にはならず,楽しんで読み進められるはずだ.でも,不安だと言う方は,まずは 1 巻だけでもよいから読んでもらいたい.

数学の内容そのものに限らず,それぞれの巻のテーマに沿った内容に絡めた「僕」たちの会話や伏線も散りばめてあり,数学をテーマにした小説としても存分に楽しめる.数学を,キャラクターを使って解説しているだけでなく,小説としての要素も欠かさずに盛り込んである著者の力量にはただただ感服するばかりだ.

ぜひ読んでみてもらいたいと,願いつつ,おしまい.