TeX は「テフ」または「テック」と発音する.Stanford 大学の教授であった Donald E. Knuth が開発したした組版ソフトウェアである.TeX は,そのマクロの機能によって拡張できる.様々な拡張パッケージの中でも Microsoft の Leslie B. Lamport によって開発された LaTeX が有名であり,TeX と言えば,この LaTeX のことを指すくらいである.TeX は数式の入った文書の組版に関しては右に出るものがない程に美しい出力をする.理系の学問分野では,論文を書くのに実質的な標準となっているソフトウェアである.
TeX を知ったのは,学部の 3 年生のときである.それまでは,SHARP と大学生協が開発した数式を入力できる書院(ワープロ専用機)を使っていた.ワープロ専用機にしては十分に美しい数式まじりの文書をつくることができた.ただ,今ひとつ満足できていなかった.そんなとき,LaTeX でつくった文書を見て,その美しさに感動したのを今でも覚えている.それから,LaTeX を勉強して数式まじりの文書は,LaTeX でつくるようになった.現在は他のソフトウェアでも数式まじりの文書をつくるようになったが,高等学校の範囲を超えるような発展的な内容の教材をつくったり,オリジナルの問題集やテストをつくったりするときには,LaTeX を使っている.やはり,一度 LaTeX での文書つくりを覚えてしまうとその美しい出力が持つ魅力からは離れることができない.数学に関わる者であるのならば,程度の差はあっても LaTeX を使えるようにしておくことに損はないと思う.
ぜひ使ってもらいたいと,願いつつ,おしまい.