お任せ! 数学屋さん

  • 著 者:向井 湘吾
  • 出版社:ポプラ文庫
  • 出版年:
    『お任せ! 数学屋さん』,2015 年.
    『お任せ! 数学屋さん 2』,2016 年.
    『お任せ! 数学屋さん 3』,2017 年.

数学が苦手な中学 2 年生の体育会系女子 天野 遥 の学校に「数学で世界を救うこと」が将来の夢だと語る天才数学少年 神之内 宙 が転校してきた.彼は,どんな悩みでも数学の力で必ず解決するという「数学屋」を教室内で開店する.遠巻きに見ていた遥も巻き込まれ,「数学屋」を手伝いはじめることになってしまう.そんな凸凹コンビであったが,日常の困り事から恋愛相談まで,同級生から寄せられるどんな問題でも「数学」を使って 華麗に解決していくことになる.だが,宙がアメリカの学校へ転校することになってしまった.たった 1 人で「数学屋」を引き継ぐことになった遥であったが,アメリカにいる宙の力を借りつつ,持ち込まれる難問に果敢に取り組んで解決していく.3 年生の夏,一時帰国した宙が,謎の女子中学生 佐伯 明日菜 とともに現れた.彼女はどうやら宙の過去を知る人物のようだが・・・.

と言う,数学が絡んだ青春小説である.数学で問題を解決していくところは,こじつけ感があることはあるが,そこは小説なので置いておこう.それよりも,数学を使って持ち込まれた問題を解決していこうとする遥たちのひたむきさが読んでいて気持ちがいい.宙と遥が,お互いの想いをうまく伝えられないでいる姿も微笑ましくなる.3 巻では,宙の過去となぜ「数学屋」を始めることにしたのかが明かされる.その過程で,同作者による『トリプル・ゼロの算数事件簿』の登場人物との絡みも出てきて,こちらの作品の読者は,より楽しめる仕掛けがしてある(もちろん,読んでいなくとも十分に楽しめる).数学の内容は,主人公たちが中学生であることもあり,中学校までの数学が分かっていれば十分に楽しめる.読んだ後は,自分も「数学屋」を開いてみたくなるかも?

ぜひ読んでみてもらいたいと,願いつつ,おしまい.