- 著 者:結城 浩
- 出版社:ソフトバンククリエイディブ
- 出版年:
『式とグラフ』,2013 年
『整数で遊ぼう』,2013 年.
『丸い三角関数』,2014 年.
『数列の広場』,2014 年.
『微分を追いかけて』,2015 年.
『ベクトルの真実』,2015 年.
『場合の数』,2016 年.
『やさしい統計』,2016 年.
『積分を見つめて』,2017 年.
『行列が描くもの』,2018 年.
『ビットとバイナリー』,2019 年.
『学ぶための対話』,2019 年.
『複素数の広がり』,2020 年.
『確率の冒険』,2020 年.
『数学ガール』シリーズと同様に,主人公の僕,数学才媛のミルカさん(僕の友人),元気少女のテトラちゃん(僕の後輩),中学生のユーリ(僕の従姉妹),コンピュータが得意なリサ(ミルカさんの後輩)が織りなす数学対話で物語が進んでいく数学書小説である.
『数学ガール』シリーズとの違いは,内容が中学校・高等学校レベルの数学が中心となっている点である.その分,中学生や高校生でも楽しく読める.中学校・高等学校レベルの数学と言っても,学校の授業や学習参考書などでは得られない,思いがけない発見がたくさん出てくる.どの巻を読んでも,「これって,こういう意味があったのか!」とか「これって,こういう見方ができたのか!」という場面に必ず出会うに違いない.そんな場面に出会えたら,授業で聞く数学も,これまでとは違った目で見ることができるのではないだろうか.
また,巻末には,友人と数学対話を楽しむきっかけとなる問題が収録されている.学習用の問題集のように答えが分かっている訳ではない.その問題を元に数学対話をし,数学を楽しんでいくためのものだ.中学生や高校生は,放課後や昼休みにこの問題を使って,ぜひ数学対話を楽しんでもらいたい.
さらに,数学を教える立場の人には,生徒に興味を持ってもらうためのネタ本としても使える.授業中に,生徒たちと一緒に数学対話を楽しんでみてはどうだろうか.
ぜひ読んでみてもらいたいと,願いつつ,おしまい.